それを、ひとは…
「きみのやったことは、懲戒対象ではないかと思うんだよね」
「はあ、もうしわけありません」
「あやまっても遅いかもしれない」
「どうすれば、よろしいのでしょうか」
「そうね。この問題に関しては、ぼくの力でなんとかなるから心配しなくてもいいんだけどね」
「ありがとうございます」
「でもね、まあ、ちょっとは、ぼくのために協力してくれればいいんだけど」
「はい?」
「きみ、懲戒対象だよ。懲戒対象。いいのかい、未来のあるきみが懲戒対象、出世も遅れるかもしれない。いや、もっと大変な事態になるかもしれない」
「しかしですね。この程度のことは、前の部長もかまわないと言われてましたけど」
「きみ、今の部長は誰なのかね。今の上司は誰なのかね」
「はあ、まあ、そうですけど」
「きみは素直だと思うんだよね。優秀な人材であると思える。が、出世が遅れる。実に、実に、不幸だ」
「…だから、なんです」
「そう協力体制だよ。協力。きみにお願いしたいのは、課長の動向を教えてほしいのだよ。極秘にね」
「は?」
「だから、食事は何を食べたとか、夜はどこで飲んでいるとか」
「そ、それはスパイをしろということですか」
「きみねえ、言葉を選びなさい。情報収集というんだよ」
「いや、しかしですねえ」
「きみ、懲戒対象ですよ。懲戒対象」
「やってられるか。このくそ野郎!!と、言ってみたい」と、誰かがつぶやいた。











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